株式投資のための企業分析!数字で探す成長企業(ROE・ROA編)

株式投資のための企業分析!

成長企業に株式投資したいけど、どの企業が成長するのか判断に悩む方は多いのではないでしょうか。

既に多くの投資家に注目されて株価が上昇してしまっている企業には、なかなか投資しづらいと思います。

企業の実態を示すさまざまな指標を知っておけば、今後も株価が上昇し続けると判断できるかもしれません。

ここでは、企業を分析できる指標のうちROE・ROAを知って成長企業を見つけましょう。

数字で探す成長企業(ROE・ROA編)

ROE(Return On Equity)はどんな指標か

ROEとは、株主にとっての自己資本に対して何%の利益を上げることができたのかを表す指標です。

ROEの式
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本
ROEが高い場合
利益を上げるのに自己資本を効率よく使えているといえるので、経営手腕があるとみなされます。
ROEが低い場合
利益を上げるのに自己資本を効率よく使えていないといえるので、経営手腕がないとみなされます。

つまり、会社の経営能力を判断する指標となるわけです。

ROEの平均はどれくらいなの?

一般的に5~8%ほどといわれています。欧米企業では15%ほどなので日本企業は低いです

ローソンの2019年2月期の決算短信を例にすると、下の青枠の「自己資本 当期純利益率」がROEです。

ROA(Return On Assets)はどんな指標か

ROAとは、総資産に対して何%の利益を上げることができたのかを表す指標です。

ROAの式
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産
「総資産」で除算
ROEでは自己資本で除算しましたが、ROAでは負債(他人資本)と純資産(自己資本)の合計である「総資産」で除算します。

つまり、ROAは他人資本も含むことで、現実的な側面から会社の経営能力を判断する指標となるわけです。

業種にもよりますが、一般的に2%以上からが投資の目安になります

ローソンの2019年2月期の決算短信を例にすると、

下の青枠の「親会社株主に帰属する 当期純利益」を「総資産」で割った数値がROAです。

ROAは1.9%(25,585百万円 ÷ 1,342,490百万円)となります。

ROE・ROAをより理解するためにそれぞれの計算式を分解する

実は、ROE・ROAの計算式には「大事な指標」が隠されています。

計算式を分解することで、「大事な指標」が見えてきます。

ROAに隠された「大事な指標」

これまでROAの計算式は、「ROA = 当期純利益 ÷ 総資産」と説明しました。

分数で表示すると、

ROA = 当期純利益 / 総資産

これを分解すると、

ROA = (当期純利益 / 売上高) × (売上高 / 総資産)

となります。

2つの指標が見えてきた!

売上高当期純利益率
(当期純利益 / 売上高)

この指標は、売上高に対して、どれだけ利益を上げることができたのかといった収益性を示します。

総資本回転率
(売上高 / 総資産)

この指標は、少ない資産でどれだけ多くの売上げることができたのかといった効率性を示します。

ROAが高いということは収益性や効率性が高い会社だといえます

ROEに隠された「大事な指標」

これまでROEの計算式は、「ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本」と説明しました。

分数で表示すると、

ROE = 当期純利益 / 自己資本

これを分解すると、

ROE = (当期純利益 / 売上高) × (売上高 / 総資産) × (総資産 / 自己資本)

となります。

(当期純利益 / 売上高) × (売上高 / 総資産)って、ROAじゃない?

ROAを代入すると、

ROE = ROA × (総資産 / 自己資本)

となります。

もう1つの指標が見えてきた!

財務レバレッジ
(総資産 / 自己資本)

財務レバレッジは、自己資本以外の「銀行借入等の負債の利用度」を示す指標です。

総資産は、

負債 + 純資産[自己資本 + その他]なので、

負債が増えれば総資産が増えます。

つまり、銀行借入等の負債への依存が高くなれば、この財務レバレッジの数値も大きくなります。

銀行借入等の負債を増やせば増やすほどROEが高くなるってこと?ROEが高い方が経営手腕があるんじゃなかった?

もちろん収益性の低い事業への投資のために負債への依存が過剰になることは倒産リスクを高める要因となります

成長を見込める収益性の高い事業への投資であれば、銀行から資金を借り入れるなど負債の割合が増えても、結果的に会社の収益を増加させることにつながります。

MEMO
銀行借入等の負債を利用して、積極的に事業へ投資するのは、会社成長のために有効な経営手段の一つといえます。

まとめ

ROE = ROA × 財務レバレッジ

この式から、会社の収益性、効率性、事業投資に対する姿勢が見えてきます。

つまり、ROEは経営手腕とセットで語られる財務指標なのです。

株価が上昇する要因はさまざまですが、基本的には利益を増やすことが大切で、当期純利益が増えれば、ROEは高くなります。

また、株主への配当など株主還元を行うと自己資本は小さくなることから、やはりROEは高くなります。

このように、ROEは株式投資において重視すべき代表的な指標といえます。

ただし、財務レバレッジで説明したように財務体質が悪い場合でもROEが高くなることがあるので、

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産

が低くないかも合わせて確認していく必要があります。

以上がROE・ROAの説明でしたが、そのほかのPBRやPERといった指標の記事もありますので是非ご覧ください
PBRとは株価の判断指標!わかりやすく数字で捉えて株式投資に活かそう! PERは株価の判断指標!わかりやすく説明します!

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