皆さん、キリスト教は、ご存じですよね。
でも、「キリスト教を説明してください。」と言われて、説明できますか?
意外と、キリスト教って何か分かってないですよね。
日本の近代化は、キリスト教が根差した西洋文化を基礎に進みました。
一方で、キリスト教の精神的な部分の影響はあまり受けていません。
なので、日本人はキリスト教を知っているけど、説明できない。
ところが、グローバル社会となった現在、日本人が国際的に活躍するためには、西洋人の精神世界を理解することが重要です。
つまり、キリスト教を知る必要があると言えるのです。
Contents
キリスト教の神は?
キリスト教の神は、ヤハウェです。
日本語では、エホバとも表記されます。
偶像崇拝の禁止は、モーセがヤハウェから与えられた10の戒律のうちの1つ。
モーセとは、旧約聖書の「出エジプト記」などに現れる最重要の預言者です。
キリスト教の唯一神「ヤハウェ」
ヤハウェは、ユダヤ教、キリスト教の正典である旧約聖書における唯一の神です。
まず、ユダヤ教があって、次にキリスト教が興った、これらの影響を受けてイスラム教が出てきました。
神と人との基本的な関係
続いて、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教における、「神と人との関係性」の違いを整理し、キリスト教における「神と人との関係性」を理解していきましょう。
ユダヤ教の場合
人々は、神の言葉を聴く預言者を挟んで、神の意志に従います。
旧約聖書の神ヤハウェと預言者モーセといった関係を通じて、人々は預言者に導かれます。
キリスト教の場合
基本的な関係性の構図は、ユダヤ教と同じです。
決定的な相違点は、預言者ではないメシア(救世主)としてイエスが出現することです。
イスラム教の場合
イスラム教もユダヤ教と基本的な構図は同じです。
相違点は、コーランという教典が最も重要な行動指針となることです。
コーランとは、モーセやイエスなどの預言者たちが説いた教えを最後の預言者ムハンマドが再解釈し語った内容を、後継者が編集し、書物としたものです。
キリスト教は誰が創ったの?
パウロとは?
パウロは、ナザレ派を弾圧していたパリサイ派の急先鋒でした。
ところが、パウロはあるとき、イエス・キリスト(死後)に出会い(幻想?)、洗礼を受けて回心します。
なので、パウロは生前のイエスに会ったことがありません。
また、イエスの直弟子である12使徒でもありませんでした。
なぜパウロがキリスト教を創ったといえるのか?
パウロは、イエスの教えについて布教活動を行う中で、多くの手紙を書きました。
これらはパウロの書簡と呼ばれるもので、新約聖書の三分の一を占めています。
また、パウロは、ギリシア語が堪能でした。
なので、ヘブライ語が使われていたユダヤ教の布教活動の場を、ギリシア語のヘレニズム世界へと広げていくことができました。
旧約聖書と新約聖書
キリスト教に馴染みのない日本人にとって、分かりにくいのが聖書です。
旧約聖書、新約聖書の「約」は、神と人との「契約」という意味です。
旧約聖書はユダヤ教の正典
旧約聖書はユダヤ教の唯一の正典であり、人の行動を律する神との契約。
旧約聖書は、神が人間を創ったことが書かれている「創世記」といった神話的な部分と、ユダヤの歴史的な部分から構成されています。
ユダヤ教において、ヤハウェは世界を支配する唯一の神で、ヤハウェに仕え従うことで救いを求めます。
そこで、モーセのような預言者がヤハウェの意志を人々に伝えます。
そして、その意志に背かないようにするため、モーセ五書(旧約聖書の最初の五つの書物)といった律法が重要な役割を果たします。
例えば、五書のうちの一つ「申命記」では、
・食物規制
・安息日
・割礼
・服装
などについてルールが課されています。
つまり、旧約聖書において、ユダヤ人はヤハウェから約束を守ることや試練を課せられるのです。
そして、契約を守ることなどを通じ救済されます。
一方で、契約に背くとヤハウェに滅ぼされる恐怖があります。
新約聖書はキリスト教の正典
キリスト初代教会が、ユダヤ教の聖書「タハナ」を神と人との旧い契約の書として旧約聖書と位置づけたのは先述のとおり。
そして、イエス・キリストとその教えに従うものたちの書を、新しい契約として「新約聖書」と位置づけました。
「新約聖書」には27の書が含まれます。
大まかな構成は、
福音書(イエス・キリストの生涯と言葉)
イエス・キリストがどのように生き死んだのか、そして、復活したのかが書かれている。
福音書は、ヨハネの福音書、マルコの福音書、マタイの福音書、ルカの福音書の4つあります。
これらの福音書は、それぞれ内容が同じ部分もありますが、互いに相違し矛盾する部分もあります。
使徒言行録(初代教会の歴史)
キリスト教の初期の普及活動の様子を内容としています。
使徒ペトロと先述のパウロの活躍を中心に描かれており、ユダヤ人のみのキリスト教がヘレニズム世界の非ユダヤ人の間へと広がっていた様子が記録されています。
書簡や手紙
初代教会の指導者たちによって書かれた書簡(手紙)からなっています。
特にパウロの手紙は、新約聖書の三分の一を占めています。
パウロは、多くの手紙を書くことを通じて、イエスの言動にある論理を取り出し、意味づけしていったと言えます。
ところで、新約聖書ができる以前に、マルキオンという人物がパウロの書簡集とルカ福音書をセットにしましたが、マルキオンは旧約聖書を否定していたため、異端とされました。
しかし、このマルキオンの体系をベースに新約聖書が成立したこともあり、パウロの書簡が新約聖書の多くの部分を占めることになったとも解釈できます。
ヨハネの黙示録
「ヨハネの黙示録」は新約聖書の最後におかれています。
ヨハネの黙示録は、キリスト教の終末論です。
終末において、天が壊され、世界は作り直される。
今ある世界は、神が新しく創った「神の国」へと代わる、といった内容です。
さいごに
今回は、キリスト教に関する表面的な部分を簡単に説明してきました。
冒頭で言ったように、日本人にとって、精神的な部分では馴染みのあまりないキリスト教。
より理解しようとする場合、日本人の宗教観や多神教の世界と対比しながら説明していく必要があると思います。
次回は、それらを中心に記事にしたいと思います。
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