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SDGs(持続可能な開発目標)とは?簡単に分かりやすく説明
最近、新聞などでよく見かけるSDGs(持続可能な開発目標)。
何のことかよくわからない方が多いのではないでしょうか。
社長が、「会社の方針に、SDGsをビルトインするぞ」と言い出して、他人事ではなくなってからSDGsを勉強するのでは遅すぎます。
SDGsには世界中で目標とすべき17の項目と169のターゲットがあります
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標を言います。
17の目標を簡単に分かりやすく説明
次のロゴのように、大きな目標として17の項目を挙げています。
一見、発展途上国の発展のための目標に見えます。
しかし、先進国が抱えている課題を丁寧にひも解くと17それぞれの目標につながります。
例えば、日本こども支援協会によると、日本人の子どもの7人に1人が貧困、ひとり親家庭の半数が貧困だと示しています。
これは、17の目標のうち「貧困をなくそう」につながる課題です。
また「ジェンダー平等を実現しよう」につながる課題として、ジェンダー不平等状況について2018年12月開催された世界経済フォーラムの報告によると、日本は149カ国のうち110位、G7の中ではダントツの最下位です。
169のターゲットを簡単に分かりやすく説明
169のターゲットとは、抽象的な17の目標を169の比較的詳細な内容として示しているものです。
さらに、169のターゲットの中に、232の指標を設定しています。
企業や自治体などによるSDGsの取り組み例をご紹介します
企業のSDGsの取り組み例をご紹介
食品廃棄物の削減
イオンが世界の大手小売業10社とともに食品廃棄物の削減を進める取り組みに参画。イオンは、グループ会社に限らず主要な取引先とも連携し、2030年までにサプライチェーンの食品廃棄物の半減を目指します。
東京ガスは、食品メーカーから賞味期限が近づいた商品などを仕入れ、ネット通販で消費者に販売することで、本来なら廃棄されていた商品を安く消費者に提供します。
ペットボトル回収再生
セブン&アイ・ホールディングスは、国内の2万店を超える小売店で順次、ペットボトルの自動回収機を設置していき、回収量を増やしていこうとしています。ボトルtoボトルという技術で、使用済みのペットボトルからペットボトルを作ります。
人権配慮のサプライチェーン
味の素など日本企業が、原材料の調達先等の「人権」に配慮するサプライチェーンづくりに取り組んでいます。グローバル企業は、海外で原材料を生産している現地の人々の労働環境の実態を把握し改善できるよう取り組む必要があります。
CO2削減
日立製作所は、社内でCO2に価格を付け、環境負荷を抑える設備投資を促すカーボンプライシング制度を導入するなど、2030年度に2010年度比50%削減を目標としています。
経団連が提案するSociety5.0 for SDGsによる取り組み例(公式HPより引用)
経団連は、SDGsの達成に向けて、革新技術を最大限活用することにより経済発展と社会的課題の解決の両立するコンセプト「Society 5.0 for SDGs」を提案しています。
飢餓をゼロに ・IoTを活用した農場管理システム (株)セラク ・農業機械の自動運転化 (株)クボタ ・牛群の個体情報まで適時把握できるクラウド型牛群管理システム 住友商事(株) ・完全自律型ドローンを用いた精密農業や野生鳥獣の被害抑制 セコム(株) ・地球観測衛星データを活用した保険の提供 損害保険ジャパン日本興亜(株) |
全ての人に健康と福祉を ・脳卒中や心筋梗塞などの疾患をゼロに「ウエアラブル血圧計」 オムロン ヘルスケア(株) ・ビッグデータ解析やテレマティクス技術を活用した安全運転支援サービスの展開 損害保険ジャパン日本興亜(株) ・コミュニケーションロボットによる介護支援 (株)ニコン、ユニロボット(株) ・Nitto PassPort System、肝硬変治療薬および肺繊維症治療薬 日東電工(株) |
安全な水とトイレを世界中に ・「RemixWater」による水ソリューション事業のグローバル展開 (株)日立製作所 ・水リスク簡易評価サービスの提供 MS&ADインシュアランスグループホールディングス |
エネルギーをみんなにそしてクリーンに ・再生可能エネルギー/木質バイオマス発電事業の展開 住友林業(株) ・太陽電池と蓄電池を組み合わせた、独立電源システムの提供 パナソニック(株) ・発電時にCO2を排出しない水素100%専焼ガスタービンの開発 三菱日立パワーシステムズ(株) |
働きがいも経済成長も ・最新のロボティクス、センシング、通信、ハプティクス(感触を疑似的な伝達)等の技術を結集した「AVATAR」の開発およびサービス化 ANAホールディングス(株) ・省エネ・省資源・生産性向上を実現する新しいドキュメント・アウトソーシング・サービス 富士ゼロックス(株) |
産業と技術革新の基盤をつくろう ・畜産のICT化への取り組み 兼松(株) ・グローバルにも通じる「日本発」のIoTプラットフォームの構築へ KDDI(株)、(株)ソラコム ・「スマートシティ化」への貢献 NTT(日本電信電話(株)) |
住み続けられるまちづくりを ・ビッグデータを活用した水害リスク情報の提供 (株)建設技術研究所 ・Fujisawa サスティナブル・スマートタウン パナソニック(株) ・自動運転技術の実現への貢献 三菱電機(株) |
つくる責任つかう責任 ・日本気象協会様と協業:高精度な商品需要予測による需給最適化 NEC(日本電気(株)) ・持続可能な成長基盤となる環境負荷低減の取り組みと社会・環境に配慮したサプライチェーン シティ |
気候変動に具体的な対策を ・水素サプライチェーンへの取組み 千代田化工建設(株) ・大容量記録メディアを活用したお客様先でのCO2削減 富士フイルム(株) |
海の豊かさを守ろう・陸の豊かさも守ろう ・食料生産と生物多様性の回復・増進を両立させる「協生農法」 (株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 ・グリーンピース・干ばつ防止活動のための広告 博報堂マレーシア |
自治体、行政のSDGsの取り組み例をご紹介(内閣府HPより)
地方創生SDGs
第2期の地方創生においては、持続可能な開発目標 (SDGs)の理念(「誰一人取り残さない」社会の実現)を踏まえ、SDGsを原動力とした地方創生の推進に向け、地方公共団体のみならず、民間企業、金融機関などの多様なステークホル ダーにおける一層の浸透・主流化を図ります。
SDGs未来都市
SDGsの理念に沿った基本的・総合的取組を推進しようとする都市・地域の中から、特に、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域を選定し、自治体SDGsモデル事業に対し補助金を交付しています。
自治体SDGs推進等に向けた取組(例)
都市名 | 経済 | 社会 | 環境 |
札幌市 | ●高性能なオフィス環境を備えたビルへの建替の促進 ●都市のサステナビリティの向上を通じた、国際観光・MICE誘致に向けた取組の推進 |
●「歩いて暮らせるまちづくり」を通じたQOL向上に向けた取組の推進 ●歩いて回遊しやすいリバブルなまちづくりの推進 |
●画的熱利用と再エネ電力事業の体制構築 ●高気密・高断熱住宅の普及や、フェアトレードの推進による持続可能な消費形態の推進 |
つくば市 | ●地元の強みを活かした地域経済活性化
①Society5.0社会実装トライアル支援事業の推進 ②スタートアップの活動支援及び産学官連携での技術シーズとニーズのマッチン グによる新たな事業化、産業化推進 |
●こども貧困問題の解消と体験型科学教育の実施
①子どもの学習支援事業 ②持続可能な開発のための教育(ESD)の推進 ③STEAM教育の実践 (STEM教育に A:art – 芸術の観点を付加) |
●循環型社会の推進
①地産地消の推進 ②つくばワイン・フルーツ酒特区を活用したつくばブランド農作物等の確立及び普及の促進 ③つくば環境スタイルサポーターズによる市民環境活動の推進 |
横浜市 | ・中小企業の経営革新と経営基盤の強化 ・イノベーション創出と戦略的な企業誘致 ・国際ビジネスの促進とグローバル人材の育成・確保 ・文化芸術創造都市による魅力・賑わいの創出 ・交通ネットワークの充実による都市インフラの強化 ・国際競争力の強化と市民生活を豊かにする総合港湾づくり ・魅力と活力あふれる都心部の機能強化 ・女性が働きやすく、活躍できるまち |
・参加と協働による地域福祉保健の推進 ・健康づくりと健康危機管理などによる市民の安心確保 ・地域包括ケアシステムの構築に向けたサービスの充実 ・地域づくり・人づくり ・市民に身近な交通機能等の充実 ・コンパクトで活力のある郊外部のまちづくり ・多様な住居ニーズに対応した住まいづくり ・未来を創る子どもを育む教育の推進 ・参加と協働による地域自治の支援 |
・花・緑・農・水が街や暮らしとつながるガーデンシティ 横浜の推進 ・地球温暖化対策・エネルギー施策の大都市モデルの創造 ・持続可能な資源循環の推進ときれいなまちの推進 ・環境にやさしいライフスタイルの実践と定着 ・活力ある都市農業の展開 |
富山市 | ●IoTを活用したヘルシー&スマートシティの形成 ①ICT・AIを活用した大規模生産体制の確立 ②ナノ粒子化技術を活用した医薬品関連産業イノベーション創出実証 ③植物工場等によるエゴマの地域ブランド化 ④再エネを活用した高付加価値作物の栽培実証 |
●LRTネットワークをはじめとする持続可能な地域公共交通網の形成 ①路線バス等におけるEV・FCV バス導入検討調査 ②市内電車南北接続・不二越・上滝線乗り入れ調査 等 ③トランジットモール社会実験等による中心市街地の賑わい創出 |
●コンパクトシティ戦略の付加価値検証とパッ ケージ化による国際国際展開の推進 ①富山型コンパクトシティ戦略のパッケージ化による国際発信 ●自立分散型エネルギーインフラ・ネットワークの形成 ①再エネを活用した地域エネルギーマネジメント システム検討 |
豊田市 | ●新技術の創出・普及、産業の多角化、人材確保 ①オープンイノベーション創出 ②先進技術実証支援 ③地域内経済循環の構築 ④人材育成・女性の活躍促進 |
●生涯活躍の仕組み、公共交通の確保、山村部の過疎化 ①高齢者の活躍支援 ②新たなモビリティの導入実証・地域交通の運用改善 ③都市と山村をつなぐ交流コーディネート |
●CO2排出量削減、森林の健全化、都市間連携による広域的取組 ①エネルギーの地産地消 ②新・百年の森づくり構想の推進 ③首長誓約に基づく広域連携事業の展開 |
堺市 | ●健康寿命の延伸産業の創出 ●水素エネルギー社会の構築 ●企業投資の促進 ●多様な人材の雇用を推進 |
●多子世帯における利用者負担の軽減 ●子ども食堂ネットワークの形成 ●おでかけ応援制度の推進 ●がん対策の推進 |
●スマートハウス・ZEHの普及促進事業 ●自律分散型エネルギーシステムの利活用 ●環境人材の育成 ●生物多様性の普及推進 |
北九州市 | ●洋上風力発電やバイオマス発電所等の地域エネルギー拠点化の推進 ●介護ロボットや自動運転などの新たなビジネスの創出 |
●女性や高齢者・障害のある人などが活躍できる場の提供 ●安心で災害に強いまちづくり ●市民活動の推進(ESD等) |
●エネルギーや資源の地域循環 ●環境国際協力・環境国際ビジネス ●コンパクトなまちの形成 |
さいごに:私にとっての「SDGs」
ご紹介したSDGsの目標に向けた企業、自治体の取り組みは、企業、自治体が、これまで認識していた課題の解決に向けた事業にSDGsの17の目標をタグ付けしたもので、事業をより強力に、そして、しっかりとした方向性をもって推進するためのものであると感じました。
そして、環境、社会、経済がバランスよく発展するためには、17の各々の目標達成がトレードオフ関係にならないよう取り組む必要があります。
また、個人であっても、
・マイボトルを持ち歩く
・通勤に徒歩や自転車を取り入れる
・ゴミを拾う
・募金をする
・食べ残しを無くす
など、日常のちょっとした行動がSDGsの目標の実現につながります。
そして、一人ひとりの行動でも、世界中の人々が実践すれば大きな力となります。
つまり、SDGsを自分事として捉えて、意識していくことが大切なのです。
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